「エアコンの掃除、したことある?」
妻は、なぜそんなことを聞くのだろう。
「フィルターを洗ったことならあるけれど……」と竜一は答えた。
「エアコンの内部は、洗ったことないよね?」
「ないよ。エアコンの中なんて洗わなきゃいけないの?」
「エアコンの中、見たことある?」妻は真剣な眼差しで竜一を見た。「ちょっと見てみて」
竜一は妻に言われるがまま、リビングに取り付けられたエアコンを下から覗き込んだ。
すると………
エアコン内部では、サスペンスよりも恐ろしいことが起こっていた!
「こ、これは……」絶句した。
購入してから4年間、1度も内部洗浄していないエアコンの中には……
白い綿菓子、いや………
カビの巣ができていた!
絶句したまま動けない竜一に、妻が言う。
「あの子が生まれて初めての夏。このままじゃダメよ」
たしかにダメだ。
このままでは最愛の娘……!
0歳児の呼吸器官に、か…カビがっ!
大量のカビが入ってしまう!
だが、エアコンの内部を洗う方法なんてわからない。
「どどど、どうしたらいいんだ!」
そのとき妻の目が光った。
「ダスキンさんを呼ぶのよ」
だ、ダスキンさん……!
「ダスキンさんとは、かの有名なハウスクリーニングのダスキンかい?」
「そうよ。エアコン内部の掃除は、自分たちでやるとしたら一騒動……」
いまこそ呼ぶしかない……!
お掃除のサービスマスターを!
ときは7月。ダスキンに電話すると、やはり夏前は予約が立て込んでいて最短でも十数日後になるとのことで、電話した日からもっとも近い日に掃除を依頼した。
ダスキンに、エアコンクリーニングをしてもらった感想
依頼日当日。
「いったい何人くらいで来るんだろう?」ドキドキしながらダスキンの到着を待っていた。
そのときだった。
ピンポーン!
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」妻がドアを開けると、40〜50代くらいに見える女性のかたが2人立っていた。「きょうはよろしくお願いします」
早速、リビングに招いてエアコンを見てもらう。
ダスキンさんはエアコンを凝視したまま動かない。何かを考えているようでもある。
一寸の沈黙を嫌うように、妻が言った。
「結構すごい感じですよね……」
「なかなか汚れてますね」ダスキンさんは苦笑して、でも、と続ける。「もっと汚れてるお宅もありますので」こめかみに汗がにじんでいた。
「暑いですよね……」
竜一が声をかけると、ダスキンさんは微笑んだ。
「暑いのは慣れてますから」
エアコンの内部を掃除するのだから当然エアコンは使えない。窓を開けてはいるが、あいにくその日は風のない日だった。
7月の部屋の中は、まるでサウナ。
ダスキンさんは小型の脚立に上ると、慣れた手付きでエアコンのカバーを外していく。
ものの数十秒で、我が家のエアコンは丸裸にされてしまった。
カバーとは対象的に、真っ黒なエアコン内部を呆然と見つめる。
「お風呂のシャワーをお借りしてよろしいですか?」ダスキンさんが言う。
絶対ダメです!と断ったらどうなるんだろうと思いながら「ぜひ!」と勧めた。
エアコンを洗浄する係でない、もう一人のダスキンさんが、外したフィルターやカバーを洗ってくれるようだ。
エアコン洗浄係のダスキンさんがのぼる脚立の下には、脚立で床を傷つけないようにシートが敷かれている。
電動モーター付きの機械のタンクには、洗浄液が入っている。
使用した洗浄液は、エアコン直下に置いたバケツに、ビニールのダクトを伝って落ちる仕組みだ。
そのため、床は一切汚れない。
ダスキンさんは、エアコン洗浄を順調に進めていく。
竜一と妻は、プロの技をただ黙って見つめるしかない。
数十分後……。
「はい!終わりました!」とダスキンさんは宣言した。
汚水を見せてもらって驚愕した。
黒い!黒すぎる!
ほとんどイカスミ!
こんなのを鼻から吸っていたのか……!
よくいままで何事もなく生きていたものだ……。
恐ろしい……。
ヘタなホラー映画より、ずっと恐い。
バケツの汚水と対象的に、エアコンは驚きの白さ。
白すぎてエアコンが存在しないみたいだ……。
これがプロ!匠の技なのね!
汚れていた数十分前の面影は、もうない。
ほとんど新品。
蘇った……。
いま我が家のエアコンが……
再び目を覚ましたのだ……!
今夜は、エアコンの復活祭だ!
「あなた!晩ごはんはお寿司よ!」
「もちろんさ!」
エアコンの復活を祝うため、家族でスシローへと走った。
「ダスキン」エアコンクリーニングにかかった料金
※ エアコンの機種により料金は変動するとのことで要確認。
正直、安くはありませんでした。
けれども、個人的には妥当な金額だと思います。
エアコン内部を自分で掃除しようとすれば、部屋を水浸しにしないための準備、清掃、後片付け、大変な苦労をすることになる。
しかしダスキンに依頼すれば、お金はかかりますが労力的な負担はないし、時間もかからない。具体的には1時間弱で終わります。
なにせ向こうはプロだから。
言い換えれば、お金以外の負担はほとんどないわけです。
エアコンクリーニングは、2〜3年ごとにするのがおすすめ
▲ エアコンクリーニングのギフト券も販売されています。親御さん、あるいは一人暮らしの子どもさんにプレゼントするのも素敵ですよ。
ウチのエアコンは大丈夫、と思われているかたは、ぜひ一度ご自宅のエアコン内部を下から覗いてみてください。
ダスキンさんによると、2~3年くらいクリーニングをしていなかったら、どこの家のエアコンも内部はほこりが雪のように積もっている、とのこと。
「掃除をしなくてもいい」という宣伝文句で売られているエアコンもあるけれど……
「掃除しなくていい」を信じて何年も放っておいた結果、プロが絶句するほど汚れているエアコンもあるそうです。
売りたい人の中には、テキトーに都合のよいことだけを掻い摘んで言う人もいますからね……。
エアコンが必要になる時季が到来する前に、ダスキンなどの業者さんにエアコンをクリーニングしてもらうことをおすすめします。
内部がカビだらけのエアコンを回すと、空気中にカビが撒き散らされる。
自分、子ども、おじいちゃん、おばあちゃんの健康を考えると、ゾッとしませんか……。